前回修理し送り出したハイゼットが、症状再発にて戻ってきました。 部品交換後の試運転では問題なかったのですが、再発しています。
症状をおさらいします。 始動時アイドリングは問題無し。走って回転が上がると、徐々に高圧が上がり3Mpaあたりまで行き、コンプレッサーのマグネットクラッチがカチカチとオンオフして冷風が出なくなる。です。
前回作業では、高圧パイプ(フィルター入り)、エキスパンションバルブ、コンデンサーを新品交換してあります。
これで再発となると、あとはコンプレッサー内で金属粉や汚れが多く、使用と共にエアコンサイクル内を詰まらせてしまうのではないか? と考えました。
そのままリビルト発注しようかと思いましたが、しっかり圧力が掛かっているという点から、コンプレッサー不良では無い可能性もあり、まずは内部を確認する事にしました。
マグネットクラッチ部と上蓋です。
内部のベーンローターです。
ローターハウジング。ロータリーエンジンのハウジングみたいです。
ローターには傷がありますが、表面のコーティング層が剥がれています。配管内にあった黒い汚れは、このコーティングですね。
表面をならしたところ、動きも良くなりました。
全てを全バラして、洗浄後です。
内部に汚れはありましたが、詰まりが出るようなものはありませんでした。 やはり原因はコンプレッサーでは無さそうな雰囲気ですが、好転を期待しましょう。
マグネットクラッチの画像に写っているムラサキ色のOリングは、かなり伸びてしまいタルタルでしたが、なんとか再使用しました。
組み完成です。バラす前よりローターの回り方が良いです。
ちなみにセンターのM6ボルトを締めるのに、マグネットクラッチをオンして固定してみました。
あと配管内の汚れや詰まりがあると意味が無いので、お世話になっている車屋さん所有の、エアコンガス多機能機を使わせて頂き、エアコンライン洗浄を実施してきました。
使用はコンプレッサーのラインを2本外し、そのラインへ器具を装着します。
その中を液体の冷媒が行き来して洗浄します。
間にフィルターが有り、汚れ具合を見る事が出来ます、、 、、今回特に汚れは見当たりません。
この機能は完全なコンプレッサーブローで役立ちますね。
その後、全て組み、ガスチャージです。
さて、具合はどうでしょうか?
見事に再発です。
さて、どうしましょう〜。
とりあえずの救いはコンプレッサーリビルトを回避出来た事でしょうか、、 3〜4万ぐらいしますからね〜。
もう一度、症状を考えると、やはり原因は高圧配管エリアで起こっています。 圧力スイッチも新品であり、カチカチ症状と作動圧力とは関係していません。
そして配管内の詰まりは無い。 そしてもう一つ、コンデンサーが新品である。
後は冷却不良か? 水を掛けると圧が落ちていく。
電動ファンは全開で回っている。
しっかり回っている。
これでもかと回っている。
ウナリながら回っている。
フロントバンパーの前に立っていると、風が足に当たってくる程に回っている。
? 前向きに風が出る ?
入庫時に、この車種はこうなんだ〜。 と思いましたが、おかしい事に気が付きました。
電動ファンの配線をコネクターから抜き、逆にして組みました。
すると、なんという事でしょう。 コンデンサーは冷え、圧力は落ち、あの頑張っている感を出していた電動ファンの音は、すっかり大人しくなりました。
結局、風が逆に出ていた為に、ラジエターの熱風がコンデンサーに掛かっていたのです。 アイドリングはオーケーで、走行するとダメ、というのもこういった理由だったというわけです。(ラジエターの水温が上がるのと、ファンの風と走行風がぶつかりますからね)
今回のような電気の入力が逆になるという事は、ファンなどの部品を交換したり、車両前部を鈑金したとしても、まず起こりえません。 ですので、その考えも当然ありません。
どうしてこうなってしまったのか? 謎ではありますが、迷宮入り案件にならずに良かったです。