いきなりですがバルブステムシールです。
先日、車上作業用に作った工具はこの車両の為です。
まずは経緯から。
マフラーから白煙が出るとの事。話では10分程走行すると消えるらしい。 ちなみに14万km超えターボ車です。
入庫後の現車確認ではかなり多めの白煙。
そしてボソボソと失火する時も。
プラグを確認すると3本共オイルでベッタリ。
コンプレッサー側のホースを外して、この時点でタービンの可能性を除外しました。
プラグを清掃して始動。1番のみ濡れています。
その後、圧縮測定。
1番 → 14k
2番 → 11.5k
3番 → 11.5k
(後で調べたら 基準は 10.8k でした)
以上から、1番シリンダーへのオイル漏れが多い。 まずは酷いオイル下がりと判断。
という訳で車上整備となったのです。
では作業を進めていきましょう。
エンジンは後方に傾いています。
カバーを外し、
タイミングチェーンなので、テンショナーをロック。
カムを外してタペットを、
順番通りに保管。
他の部品も即梱包します。
ヘッドカバーはチェーン周辺に汚れの堆積が見えます。
さて、ようやく本題の準備が整いました。
新品のステムシールです。
こちらはプラグ穴からエアーを入れるもの。
内部にムシが入っています。
自作SSTにてバラす事が出来ました。
狭い排気側用に切断したバルブステム外し。
現状握りの力が弱くなってしまったのでロックプライヤーで締め付け。
下になる排気側は結構カーボン付着。
ステムシールもスラッジが溜まり、ゴムも硬めです。
長期間オイル交換を怠るとオイル漏れしやすくなります。 その原因としてカーボンスラッジがシールゴムを硬化させてしまうのです。
下側、特に左側はターボがあるのでスペースがありません。
バルブコッターは弾かれて飛んでいく事があります。 バラした人は必ず一度は経験してますね。
もしコッターが鉄では無く磁石にクっ付かなかったら、、 恐ろしです。
さて、なんとか無事交換出来ました。
症状はどうなのか?
キュキュキュ ブゥ〜ン モクモク
残留オイル分を考慮して観察、、 が、 中々収まりません。
エンジンを切ってプラグチェック。 ベタベタです。
以上でバルブステムシールが主原因では無いということになります。
もう一度考えましょう。
①ステムシール、つまりはオイル下がりでは無い。
②圧縮がある事からオイル上がりでも無い。
③ターボでも無い。
④プラグが濡れている。
とすると、残るは吸気側からの流入?
吸気とエンジン内を結ぶ物は?→ ブローバイ。
そこにPCVというワンウェイバルブがあります。
試しにホースを抜いてみると、、
かなりの時間が掛かりますが、段々と白煙が減っていきます。 原因はコレですね。
上がPCVバルブ、下がそのパッキン。
新品の中には弁がありますが、
外した物は貫通してました。
これでオイルを吸っていたんです。
さて、ここでウォーリーを探せならぬPCVバルブを探せ!
この中に青いPCVバルブが隠れてます。 正解は下。
この中に青いPCVバルブが隠れてます。 正解は下。
という訳で、結構厳しい場所にあります。 普通は周りの部品を外してアクセスしそうですが、そのままトライしました。
そして最難関は、このパッキン。 表がツバになっていて、嵌めるのは簡単ですが抜けるようには出来ていません。 そして長年の使用によりゴムが硬くなり、余計抜けません。
それよりも重要なのがツバが無くなると、エンジン内に落ちて回収不能となってしまう事です。
たかがパッキンですが侮れません。 今回は更にアクセスの悪さがプラスされましたが交換完了です。
結果、試運転で白煙無くなりました。 少し遠回りとなりましたが良い経験となりました。感謝。