マルチクリエイト☆2児パパサロン

仕事のクルマ、バイクなどの機械系。家庭内での掃除、修理が主です。あとは、人生の歩み方を、独り言として綴っていきます。

RZN215W ハイラックスサーフ 始動不能 故障診断

 

f:id:avel8468:20190629092515j:image

さて、故障診断の時間となりました。

 

問題・  エンジンが始動しません(ガソリン車で初爆無し)

実車を用いて解答を導き出しなさい。  です。

 

では進めましょう。

 

まず確認したところスターターは元気に回ります。

という事でスターターモーターとバッテリーは ok 。

 

初爆は無し。 聴いた感じフューエルポンプの駆動音が聞こえません。   はは〜ん、ポンプ不動だな。

 

しかし決め打ちはいけません。 
f:id:avel8468:20190629092438j:image

点火の可能性もあるのでスロットル手前のパイプをズラしてパーツクリーナーを噴射。 パーツクリーナーの成分は炭化水素、つまりはガソリンと同じなのです。

 

コレでエンジンが掛かれば燃料系、掛からなければそれ以外(点火系か? となります)

 

さて結果は。

 

炭化水素を吹き込みアクセルを開けてキーをスタート。   キュルキュル    ぶお〜ん。

 

エンジン掛かりました。 そうそうヤッパリ燃料系で確定だ。点火系は正常。  (後々ここに大きなポイントがあります)

 

となればポンプの単体不良で決まり?

 

いやいやもう少し確認が必要です。
f:id:avel8468:20190629092456j:image


 f:id:avel8468:20190629092433j:image

ポンプはリレーにて駆動されていますので確認しましょう。

手で摘んでいるのがソレです。  名称はサーキット オープニング リレー 。

 

まず手始めに+Bの電圧を測ってみましょう  →  12v ok 。

 

+BとFP(フューエルポンプ)を配線で直結  →  ポンプ駆動 ok 。

 

という事は電源、配線、ポンプ単体は ok 。

ちなみに直結のままエンジン始動しました。 しかしアクセルを少し踏んでいないとエンストします。(まあとりあえずエンジンは掛かるようになったので移動は可能になりました)(ココも後にポイントとなります)

 

 

こう来るとこのリレー不良で決まりか?  この問題、案外サラリと終わるな。  そんな事を思ったのはこの一瞬だけでした。。

 

同じ型のリレーが 他にも使われていたので抜き変えて作動確認。  エンジン掛からず。⁈

おや。  リレーを単体点検  →  作動 ok 。

 

こうなると残るはリレーを作動させるスイッチ側の問題となる。  

f:id:avel8468:20190629092522j:image

構成としては電源からコンピューターへ電気が落ちる事によりスイッチ作動。

 

電源  →  12v  ok 。

 

リレーからコンピューター間のハーネス導通  ok 。

 

そうなるとコンピューター内のトランジスタ不良⁈

でもそう簡単にコンピューターって壊れないイメージがあるのでもう少し診ていきます。

 

そこでフューエルポンプの作動条件 を調べます。

 

まず必要なのは、エンジン回転信号。

そしてスターター信号、付随してニュートラル信号。 このあたりでしょうか。

 

そこでウチのテスターではデータモニター出来なかったので他店でお借りしました。

f:id:avel8468:20190629092441j:image


f:id:avel8468:20190629092444j:image

どの信号も ok 。  リレーも on となっています。

フローチャートではやはりコンピューター交換。

 

という事で、入力も確認したところで、、
f:id:avel8468:20190629092417j:image

了承をもらい発注しました。 リビルトコンピューター。


f:id:avel8468:20190629092502j:image

場所は助手席グローブボックス奥。

 

f:id:avel8468:20190629092420j:image

リビルトと言ってもデンソーの中身は新品だと思われます。

 

 

はい。

 

 

結果ですね。

 

 

 

なんと、症状変わらず。。

 

 

 

ここまで来ての誤爆です.

 

やはりコンピューター不良は判断が難しい。 

まだまだ甘いかな、今思うとまだ確認する手立てはあった事に気付く。  その辺りは最後に回してとりあえずは診断を進めます。

 

 

こうなると話が変わりコンピューターは正常である。  構成図を見尽くすと、もうそれ以上のロジックは無い。  もしや燃料系は正常なのでは?  となってくる。  燃料系が正常⁈   イヤイヤ作業始めにパーツクリーナーでエンジン掛かってるし、、  そんな事は、、   な、、

 

サービスマニュアルをかなり見ましたが、もしや通常とは制御が違うのか?  そう思えて来ました。

 

推測するに、エンジン回転が入力されている時のみポンプ オン なのでは?  

 

 

正解でした。 

 

 

アクセル オンにてエンジン始動‼︎   何とパーツクリーナー無しでも掛かったのです! ここが誤診の始まりですね。  ポンプもキーオンでは作動しないシステム。  通常ならばキーオンで 『ウィーン』 っと一定作動します。 

 

ココでようやく今までの燃料系不具合の呪縛から解放されます。  最初の指針、考え、思い込みと言うものはなかなか取り去る事が出来ないのです。

 

症状が『アクセルを開けないとエンジンが掛からない』に変わったところで進めます。

 

f:id:avel8468:20190629092518j:image


f:id:avel8468:20190629092459j:image


f:id:avel8468:20190629092505j:image

基本点検、プラグをチェック。

良くもなく、悪くもなく。  今回の不具合原因ではありませんね。 しかしこういうところを潰しておくのは重要です。


f:id:avel8468:20190629092447j:image

と言う事で最も疑われるアイドルコントロール。 一体となったスロットルをチェックしていきます。


f:id:avel8468:20190629092508j:image


f:id:avel8468:20190629092430j:image


f:id:avel8468:20190629092450j:image

スロットルは見事に真っ黒。


f:id:avel8468:20190629092454j:image


f:id:avel8468:20190629092511j:image


f:id:avel8468:20190629092422j:image

スロットル下側のISCVも真っ黒。


f:id:avel8468:20190629092436j:image

全て洗浄していきます。


f:id:avel8468:20190629092427j:image


f:id:avel8468:20190629092425j:image

共に綺麗になりました。

 

取り付け後、通常通りエンジン始動しました。

今回の原因はアイドルに必要な空気通路がカーボン汚れで埋まってしまい、窒息していた事によるエンジン始動不良でした。  遠回りとなってしまいましたがこれにて完了です。

 

 

さて最後に考察です。

 

今回は見事に燃料系に頭が振れてしまった事が遠回りの原因となります。

その要因として、

○キーオンでポンプが回らない  →  そういうシステム。

○パーツクリーナーでエンジンが掛かったという事象を確認した  →  アクセルオンが必要な事、クリーナー無しでも掛かる事に気が付いていない。

 

 ○そして完全窒息なのか初爆が一切ない事  →  少しでも初爆があれば燃料が出ている証拠である。

 

これらの事が燃料系に絞った判断材料である。

 

 

その後の診断の進め方。

 

○リレーからコンピューターに落ちる診断までは ok 。  その後のコンピューターが ok かどうかの判断方法を思い付いたので記述する。  

 

この時の流れとしてフューエルポンプリレーのスイッチ駆動の不具合であると確信しているので、駆動の最終であるコンピューター内のトランジスタ不良であるとも、ある意味確信している訳であり。  その他の入力信号、すなわち回転、スターター、ニュートラルなどのポンプ制御に必要な信号類が入力されているならば、あとはトランジスタの不具合であると考えた。

 

しかし消去法ではなく、実際のトランジスタの作動を確認するのが正解でした。  

 

方法としては、まずアクティブテストでフューエルポンプ強制駆動を出来るテスターで試す事。  これが一番早くて確実である。  ポンプ自体からコンピューターまで全てを確認出来る。    しかし今回はそのような対応テスターがなかった為に個別にテストして

 

いき最後にコンピューター内のトランジスターが残った事になる。

 

後はこのトランジスターの直接確認が出来れば良かったのであって、リレーの導通ラインに電球を割込ませれば、キー スタート時に電球の点灯が確認できたはずである。  また、コンピューターに直接、電源→電球→トランジスタとしても同様に点灯したはずである。  そうなればコンピューターエラーといった診断は無かっただろう。

 

 

対応テスターが無くても、もう少し頭を回せると良かった。

 

 

長くなりましたが、今回のような案件を頂き感謝します。

 

 

という事で問題の解答は 『ISCVのカーボン汚れ』 でした。