前回作業のエブリイです。
ウォーターポンプ交換からの冷却水交換について考えます。
正しい交換方法とは? です。
順に考えて行きましょう。
①まず第一にラジエターなどから排出しただけでは全量が抜けていない。
②抜いた後にラジエターのみに水を流してもあまり意味がない。 ヒーターホースなどを抜いてから水を流さないとエンジン内部の残留LLCはそのままで、こうして洗い流す事により徐々に排水が透明になっていく。
③洗い流さない場合内部に古いLLCが残っており新しいLLCと混ざる。 (その比率は後ほど)
④そうなると交換時には必ず全体を洗い流そう! となる。
⑤すると洗い流した最後にラジエターから排出すると、内部に残るのは水。
⑥この分を考慮せずに規定濃度のLLCを入れると必ず薄くなる!
どうでしょうか? 今までは洗い流す事をしていなかった為規定濃度LLCの注入でOKでしたが、良く考えればそうではない。
ある程度新しくなれば良いという考えならば有りですが、アップグレードのLLC注入やLLCの色変えなどではキッチリと古いモノは洗い流したい。
そうした場合の手順として
①洗い流し、出来るだけ水を出す。
②サービスデータにてそのエンジンの冷却水総量を調べる。
③規定濃度分の原液を先に注入。
④後はエア抜き完了まで水を注入。
方法はコレしかないです。
では実車にて見てみましょう。
エブリイのK6Aエンジン、ウォーターポンプとサーモスタット交換後のLLC注入です。
注入前に洗浄です。
黄色い棒で指しているエア抜きホースを抜きます。
この状態でラジエターキャップからの注水で徐々に水が綺麗になっていきます。
こちらはエンジン側サーモスタット部分のエア抜きボルト、これを抜いて同じくラジエターキャップから注水して透明になるまで洗浄。
ちなみにヒーターホースにすぐアクセス出来れば抜いて洗浄がセオリーでしょう。
その後ラジエターから排水。
調べた所LLCの総量は 5.1 L
目標濃度は 33%
必要LLC原液は 1.7 L
先に原液を注入し残りは水でエア抜きまでして作業は完了となります。
今回で言うと、
LLC原液 1.7L
水 1.0L
つまりエンジン内の抜けてこない分は 2.4 L で、普通に抜いただけではほぼ半分しか交換出来ていない事になる。
話は変わり、そうすると真空引きのクーラントチャージャーはどうなのか?
空気が抜けてエア抜きが容易となるのは非常に良いが、元々規定濃度を作っておいての注水では薄くなってしまいます。
普通に使えるとしたらエンジンオーバーホール後の注水しか無い。となりますね。
こう考えるとクーラントチャージャーでも始めに原液を吸わせてそれが無くなる前に水を足して吸わせる事が出来れば使えそうですね。
どちらにせよLLC全体量の把握が必須となります。
ただイレギュラーは社外ラジエターの場合ですね、その分増えます。予想では500〜1000ccぐらいでしょうか。
あと当然ですが、希釈済みのストレートタイプはまともに使えません。それこそ単なる補充用となってしまいます。
最後にLLC濃度と凍結温度です。
25%時 → ー12度まで
60%時 → ー50度まで
LLC濃度は濃いほど良い訳ではなく、濃いと冷却効果が落ちます。 しかし冷却が良いと言われる薄い濃度では凍ったり錆びます。
調べると新車時のメーカー使用濃度は30%。
なので余程の寒冷地で無ければ33%あたりのー17度までで十分と思います。