マルチクリエイト☆2児パパサロン

仕事のクルマ、バイクなどの機械系。家庭内での掃除、修理が主です。あとは、人生の歩み方を、独り言として綴っていきます。

JZX100 ブレーキキャリパースライドピン

 

f:id:avel8468:20191206223756j:image

さて今回は100系を例にしてブレーキメンテナンスを紹介していきます。

メンテナンスと言ってもキャリパーシールなどのオーバーホールでは無くスライドピンについてです。

 

キャリパーと言うと2〜6POTなどの対向キャリパーを思い浮かべますが、最も一般的なのは浮動式キャリパー。

 
f:id:avel8468:20191206223829j:image

そう、この様な片押しキャリパーの事です。

片方からしか押さないが為に上下のスライドピンで動いて反対側を押さえつける必要があります。

 

そんな大事なスライドピンはグリスが塗られていますが、定期的(ウチでは車検ごとです)にグリスアップする事で固着して動かないなんて事を回避出来ます。

 


f:id:avel8468:20191206223815j:image

そこで今回、そんなスライドピンを逆にグリスアップし過ぎた車両のお話です。

 

そう、グリスアップは良い事なんですが、、

 

問題はどんなグリスを使うのか? です。

例えば上の画像では黒色のグリス。→  モリブデン系と思われます。

私も赤色のウレア系や黄色の多分リチウム系なども使ってみましたが、、  良くない。

  
f:id:avel8468:20191206223826j:image

何が良くないのか?

 

それは潤滑の維持。 ウチの場合では最低2年持てば良い事になるが乾燥してしまう。乾燥すれば当然動きも悪く最悪は動かない。

そして良くない最大の理由は、ゴム部品への攻撃性である。

 

手の上にあるゴムのリングが最もその的となる。


f:id:avel8468:20191206223807j:image

実車に移りましょう。

この場合、まずはこのピンが入るシリンダー内のグリスを綺麗にせねばなりません。 かなり念入りにしてもこの通り、まだ汚れが出ます。


f:id:avel8468:20191206223818j:image

ちなみにこのピンには結構な力が加わるので、しっかりと潤滑されないと表面が削れていきます。


f:id:avel8468:20191206223804j:image

先程のゴムのブッシュです。 スライドピンの片方はこのように溝が掘ってあり、このブッシュが収まるようになっています。


f:id:avel8468:20191206223810j:image

これがですね〜 グリスの溶剤にやられると、、

 

左のように膨潤。(右は新品)

するとブッシュはシリンダーには入らず脱げてしまいます。

 

f:id:avel8468:20191206223836j:image

そして後ろのキャリパーも同じくグリスアップされていたので洗浄、ピンブッシュはまだ入る状態でしたが端が千切れているのでアウトです。

 

 

 

さて部品発注して到着しました。

f:id:avel8468:20191211194010j:image

一つハマったのがリアのスライドピンブッシュ。

 

f:id:avel8468:20191213194911j:image

フロントは設定があるが、

 

f:id:avel8468:20191213194920j:image

リアは設定が無く、イラスト表記も無し。

 

部品屋さんといろいろやりとりし、シールキットに入っているのでは? などの話が出ましたが結局は下側のサブというスライドピンに付いていたようで、ピンごと発注して解決しました。


f:id:avel8468:20191211194015j:image

そして今回のトヨタの場合、ブッシュの付いているスライドピン(サブ)はキャリパーの下側に挿さり

ます。 リアは上下のシリンダー内径が同じですが、フロントは下の方が大きく、上が小さい。 しかしそれでもサブピンを上に挿そうと思えば力任せに挿せてしまうので注意が必要です。


f:id:avel8468:20191211194002j:image

この車両のフロントも右は上側に左は下側にサブが挿さっていましたが、左の上側シリンダー奥からは千切れたブッシュが出てきました。 この手の車は挿し間違えられている可能性も高いです。


f:id:avel8468:20191211194005j:image

フロントの最後はこのダストブーツ。

右の新品と比べると一回り大きくなっているのが分かります。 そしてこの内部は通常ですとスライドピンに接触しないので破れていなければ良いのですが、このフロントダストブーツに限ってはピンが内部ゴムの抵抗を受けながら挿さっていく構造となっています。 よってここもグリスにより攻撃されます。

 

あとダストブーツ取付も一手間、打ち込み式です。

一度付けられていれば簡単ですが、新品はなかなか、、

 

マニュアルには21mmのソケットを使用とありましたが、画像のような17mmのストレートメガネが1番と思われます。

 

これらにより本当に気持ちの良い動きとなりました。 スィー。

 

 

 

f:id:avel8468:20191211194007j:image

こちらはリアのダストブーツ、やっぱり一回り大きい。

サブの挿さりは前述のように下側。

 

 

 

そういえば、

 

 

 

グリスの話をしてませんでしたね、

 

 

 

使っているのはシリコン系、ワコーズのスーパーシリコングリス。 耐久、耐熱、耐ゴム性があります。

 

 

 

 

ここからは私的な考察とポイントです。

 

そもそもこのブッシュは何の為にあるのか?

 

①振動音対策。(スライドピンが上下共に金属のみだった場合動き過ぎる?)

②スライドピンへの削れ対策。(金属to金属への当たりが強くなる)

③現在位置出し。(ピストンシールの様な働き)

 

 

これら3つの働きと推測します。

そしてキャリパー自体の自重がある事から装着は下側なのでは。

 

 

 

後はグリスアップのポイントです。

 

ピン自体には2〜3面取されており、フロントのブーツ内部にも3つスジが、ピンブッシュにもスジというか窪みが有り、これらは内圧の調整用となります。

 

グリスが多過ぎたりして機能しない場合、ピンを押し込んでも内圧で押し戻される事があります。 それ用の対策ですね。

 

f:id:avel8468:20191214132526j:image

あと全て組んだ後にブーツ内の内圧調整。 それとこのブーツのリップ部分からの水分侵入防止にシリコングリスを塗った方が良いです。

ワゴンRで過去にブレーキメンテしたにもかかわらず、且つブーツが外れてもいないのにピンが錆びた経験ありますので。 それ以降ゴムの当たり面にはシリコングリスを塗っていますね。

 

あと、そう言えばこの車にはパットとパットを外に開くようにバネが付いていますが、あれ無い方がタッチが良いのかも? しれない。 また試してみよう。

 

という事で思う事を書いてみました。